イタリア・奇蹟と神秘の旅/坂東真砂子
表紙がポップとは正反対の物々しい荘厳たる感じで、ライト級の読書家からするとちょっと及び腰になる印象があった。
事実、この本を購入(たぶんブックオフ)してから、実際に読み始めるまでけっこうな月日がかかっており、自分的にもやっと重い腰を上げて読むことができたなという思いがある。
中身はそれほど難しくもなく、学術的という感じでもなかった。
イタリアの各都市に残る伝説や表に出てこない歴史にスポットを当てた内容で、筆者の個人的嗜好がかなり全面的に出ている本である。
著者の嗜好が全面的に本に出るのは当たり前だろ、と言われるのはもっともだが、そのように書いたのはどちらかというと、肝心の読者さえも置いてけぼりにされている感もあったから。
魔女狩りや人体標本、異端教徒にまつわる話しなどに関し、現地を実際に訪れたりした時の考察や思いなどが描かれている。
けど、あまり読む側にその面白さが伝わってこないのは何故だろう?
僕だけかもしれないが。
たぶん、もっと深く掘り下げた方が良かったのだろうと思う。
著者の思いが先行し独善的になるのはしょうがない。
独善的になるのであれば、もう少し深く専門的であった方が読む側にも伝わってくるんじゃなかろうか。
塩野七生氏が良い例だと思う。
やるんならあのくらいの方がテーマ的にも良かったのじゃないかと、個人的に感じた本だった。