Walking backstreet(裏道を歩いていこう)

Walking backstreet(裏道を歩いて行こう)

40代後半になっても自分の生き方、進む道が分からない男のブログです。「40にしても惑う」人間の悩みや日常の思考などを趣味も交えて書いています。

ジョン・レノン、ニューヨーク

f:id:minorthing45:20170223180614p:plain

ジョン・レノンとニューヨークという街の関係に焦点を当てたムービーでした。
 
また、オノ・ヨーコに対する見方も少し変化する映画かもしれません。
 
特に、オノ・ヨーコ嫌いの人にとってはですが。
 
僕自身は、それほど彼女のこと嫌いではありませんが、ライブでお経か動物の声か分からないような歌には辟易しています。
 
好意的に解釈すれば前衛的とかになるんでしょうけど、僕はとてもずっと聴いてられません。
 
ジョン・レノンがロンドンから逃げるようにしてニューヨークに移り住み、そして、一旦はニューヨークを離れロスに行くも、再び舞い戻り、そして暗殺されるまでの経緯がよくわかります。
 
もし、ロスにずっといたなら、ニューヨークに戻ってこなければ、彼は殺されずに済んだかもしれません。
 
でも、ヨーコがいないロスでの生活は、別の意味でジョンを亡き者にしたことだろうと容易に想像できます。
 
そのぐらい、ジョンのヨーコに対する思いや愛は強く、彼が求めていたのはヨーコとの穏やかな日常だったのだろうなと思うのです。
 
最初のニューヨーク生活
世界的有名人であり、要注意人物でもあったジョン・レノンがニューヨークで生活するということは、アメリカにとっても非常にやっかいな問題だったのがよくわかります。
 
ジョンの影響力はかなり大きく、彼の存在を良しとしない人達が多くいたであろうことは容易に想像できます。
 
ただ、ジョンもイギリスでの激しいオノヨーコバッシングから逃れるためにニューヨークへ来たのですから、当時のあの二人が本当に安らげる場所は少なかったのでしょう。
 
しかも時代はベトナム戦争時代であり、反戦運動などにジョンとヨーコが関わっていくのも必然でありました。
 
コンサートを通じ反戦活動家を釈放しろと要求したり、それなりに平和活動家としては充実したニューヨーク生活を送っていたように思えましたが、ジョンを国外追放しようとする当時のニクソン政権側が選挙で勝利したことが、ジョンに大きなショックを与えます。
 
アメリカから退去させられるかもしれないという恐怖と、自分の運動が政権をひっくり返すには至らなかったという思いから、半ば自暴自棄になったジョンはヨーコが近くにいるにも関わらず他の女性とセックスをしてしまいます。
 
このことに傷ついたオノヨーコは、ジョンと離れることを決意し、結果、ジョンはロサンゼルスへ独りで旅立つのです。
 
ロスでの活動
ロサンゼルスでは、ヨーコと離れなければならなくなった寂しさもあり、毎日酒に溺れ、キース・ムーンらと乱痴気騒ぎの生活を送るのでありました。
 
その仲間にはポール・マッカートニーもおり、家の中で仲良く談笑する映像が出てきて、見てる方もびっくりします。
 
この時に発表されたのが自身のルーツをカバーしたアルバム「Rock'n'roll」。
 
ヨーコと離れたことにより、今一度自分を見つめ直すことができたという事なんでしょうね。
 
やがてエルトン・ジョンからライブの出演依頼があり、マディソン・スクエア・ガーデンで一緒にステージに立ちます。
 
このコンサートの成功がきっかけとなり、ジョンはヨーコと仲直りすることができ、再びニューヨークへ帰ることができたのでした。
 
再びニューヨーク
ショーン・レノンが生まれ、ジョンは主夫として子育てと家事に没頭する毎日を送り、音楽活動の復活も「ダブル・ファンタジー」のレコーディング開始という形で実現しようとしていました。
 
映像を見ていると、この頃のジョンは本当に楽しそうで、やっと自分の居場所を見つけたんだろうなと思いました。
 
そしてあの事件
アパートメントの入り口で銃弾に倒れるジョン。
 
もう説明する必要はないでしょう。
 
この作品では、ここも非常に淡々と描かれていました。
 
特にヒステリックでもなく、ドラマティックでもなく、ただ淡々とその事件のことを伝えていました。
 
だからこそ、観ていてここで涙があふれ出てしまいました。
 
イギリスから逃げるようにしてやってきたニューヨーク、でも色んな活動に抗うこともできず呑み込まれ、オノヨーコとの別離、ロスでの自暴自棄な生活、そして再びニューヨークに戻り、そこでは育児をしながら家庭を大事にしようとするジョン、その彼の命が突然絶たれたのです。
 
この映画は何度も言うように、淡々とジョンとヨーコ、その関係者達の画や言葉を紡いでおり、それだけに余計に等身大の人間としての姿が迫ってきます。
 
もし、ニューヨークに戻らなければ、という気持ちと、でも戻ったからこそ息子や妻と何気ない日常の幸せを感じる事もできたのだし、というジレンマに陥るのであります。
 
良い作品でした。