Classroom Crisis★★★★
近未来系のSF学園ものという感じで観てたのですが、どうやら様子が違って、高校生でありながら企業に所属する社員達の物語でした。
確かに、設定はよくある学園SFものなんですよ。
でも、ストーリーの内容が、労働組合と執行部側の闘争があったり、巨額の開発予算をどうやって会社側から勝ち取るかとか、視聴者が社会人であるなら、思わずクスッとしてしまう場面がたくさんあるアニメなのです。
舞台は、火星に作られた「第4東京都」にある霧科コーポレーションという企業。
霧科コーポレーションは、航空宇宙事業で成功した会社であり、今や様々な分野に進出しようとしている大企業で、その中で霧科科学技術学園という学校も運営しているのであります。
その学校内にあるクラス、通称「AーTEC」の生徒達は、昼は勉学にいそしみ、放課後は霧科コーポレーションの社員として宇宙ロケット開発のプロジェクトに携わっている、けっこう特異な立場にありました。
「A-TEC」の室長をしているエンジニア瀬良カイトが主人公で、生徒達の担任であり、且つ開発プロジェクトの責任者なのです。
ある時、A-TECに転校生の霧羽ナギサがやってきます。
彼は霧科コーポレーションの創業者一族の一人であり、主人公の上司に就任するのですが、A-TECの事業の費用対効果を問題視し、このままの状態が続くのであればリストラ及び部署解散をすると告げます。
ここで面白いのが、昼は学園の生徒ですので、転校生のナギサは主人公からみると生徒の立場になるのですが、放課後は主人公の上司になるんですよね。
そのあたりの二人の会話のやりとりも見ていて面白い。
物語の軸としては、大企業の社員である主人公とその生徒達と転校生であり経営側であるナギサの対比構造がメインで、しかしながらナギサも何か裏に秘めた事情があり最終的には…という展開となっています。
ただ、主人公カイトのキャラ立ちが弱いというか、主人公らしい存在感がやや薄かったなぁと。
どちらかというとナギサに注視してしまう感じが、残念でしたね。
同じようにヒロイン達、ここでは女子生徒でありますが、それも今ひとつ描き方に押しがなかったです。
それと、前半部分は割と淡々としていて、盛り上がりに欠けている印象。
ナギサが本領発揮しだしてから、物語が急激に進み出したというか、面白くなりだした感じがします。
しかし、全体的には面白く出来ており、画も良い感じでしっかりしています。
学園生徒であり企業の社員という設定も、確かにぶっとんではいるのですが、それはそれで物語を構成する重要要素であり、観ている側はそれにしらけるというほどではなかったように思います。
個人的には大好きな作品の一つとなりました。