Walking backstreet(裏道を歩いていこう)

Walking backstreet(裏道を歩いて行こう)

40代後半になっても自分の生き方、進む道が分からない男のブログです。「40にしても惑う」人間の悩みや日常の思考などを趣味も交えて書いています。

2020年に読んだ本(その2)

「その1」の続きです。

 

「ワイルド・ソウル(上)」/垣根涼介 

ワイルド・ソウル(上)(新潮文庫)

ワイルド・ソウル(上)(新潮文庫)

 

 

「ワイルド・ソウル(下)」」/垣根涼介  

ワイルド・ソウル 下 (新潮文庫)

ワイルド・ソウル 下 (新潮文庫)

 

  垣根氏の作品なので、タイトルを見て最初はアジア系マフィアの抗争話しかと思ったら、ブラジル棄民をテーマにした社会派小説でした。ブラジル移民についてはあまり詳しく知らなかったので、その背景や様々な問題があったことをこの本が教えてくれました。ストーリー展開も早く、重いテーマですが読みやすい仕上がりになってます。外務省への復讐は、少しあっさりした感じで終わってしまいますが、未読の人には是非読んで欲しい作品です。

 


デルフィニア戦記1部(1)」/茅田砂胡 

 

デルフィニア戦記1部(2)」/茅田砂胡 

 

デルフィニア戦記1部(3)」/茅田砂胡 

 

デルフィニア戦記4部(4)」/茅田砂胡 

放浪の戦士 <4> デルフィニア戦記 第1部    中公文庫

放浪の戦士 <4> デルフィニア戦記 第1部 中公文庫

  • 作者:茅田 砂胡
  • 発売日: 2003/04/24
  • メディア: 文庫
 

 デルフィニア戦記シリーズに手を出してみまた。非常にライトな感じのファンタジー小説となっております。どこか別の世界からやってきた主人公リィと、王位を追われたウォルの出会いから物語が始まります。リィがあまりに無双過ぎてつまらないという人もいるでしょうが、僕はこのぐらい爽快にやってくれる主人公がいた方が面白いです。現実ではありえない話しを求めて小説を読むのですから。ともかく続きが気になってしょうがないです。

 


デルフィニア戦記2部(1)」/茅田砂胡 

 

デルフィニア戦記2部(2)」/茅田砂胡 

 

デルフィニア戦記2部(3)」/茅田砂胡 

 1部でリィの協力のもと、無事?王位を奪還したウォルは、リィを王女として迎え入れます。ですが様々な思惑を持つ各国から次々と王女への求婚話しが浮上し、それを回避するためウォルとリィが結婚することに。ここではリィが人間ではないことなども明かされますし、これまでのリィのことを読んで知っている僕も、この結婚話しには赤面してしまいました。

 

デルフィニア戦記3部(1)」/茅田砂胡 

 

デルフィニア戦記3部(2)」/茅田砂胡 

 

デルフィニア戦記3部(3)」/茅田砂胡 

 ウォルとリィの結婚式の最中に、隣国タンガが蜂起しそれどころではなくなります。二人の結婚話しだけでなく、彼ら以外の恋物語なども織り交ぜながら話しが展開していきます。まったりした感じで進むのかと思ったら、シェラとイヴンの失態により、リィが神がかり的な力を使うなど、またまた息もつかせない展開に目が離せません。

 

 

「昨夜のカレー、明日のパン」/木皿泉 

昨夜のカレー、明日のパン (河出文庫)

昨夜のカレー、明日のパン (河出文庫)

 

 夫を亡くしたテツコは、妻を亡くした義父と二人で暮らしています。お互いに大切な人を亡くした喪失感を抱えながらも、淡々と時間は流れていきます。彼らだけでなく登場する人物全てにほっこりさせられ、読みながら心の洗濯ができた感じがします。「人は変わっていく。それはとても過酷なこと。でも同時にそのことだけが人を救ってくれる」は、まさにその通りだけど見落としがちな真理だと思います。

 

 

「硝子のハンマー」/貴志祐介 

 弁護士青砥純子と防犯探偵榎本コンビが殺人事件の解明をする物語。密室トリックについて細部にまで丁寧に拘った内容になっていて、登場人物の作り方やストーリーの組み立て方までも全てにおいて丁寧に作られています。これまで読んだ貴志祐介作品とは毛色が異なる印象を持ちながら読んでいましたが、その丁寧さに限っては作風は変わっていませんでした。良作です。

 


「クリムゾンの迷宮」/貴志祐介 

クリムゾンの迷宮 (角川ホラー文庫)

クリムゾンの迷宮 (角川ホラー文庫)

 

 主人公がふと目を覚ますと、そこは赤茶けた異国の土地で、そこで突然に始まる9人のサバイバルゲーム。ここがどこで、自分は何故そのゲームに参加しなければならないのか、ともかく謎が詰まったまま物語は進みます。ゲーム展開やその駆け引きなどが面白く描かれていたのですが、ラストはちょっとすっきりしませんでした。しかしながら読み手を引き込む作りはさすがです。

 

 


「十三番目の人格(ペルソナ)」/貴志祐介 

十三番目の人格(ペルソナ)―ISOLA (角川ホラー文庫)
 

 貴志氏のデビュー作。前半は多重人格をメインに話しが進みますが、途中からややホラーチックな展開になっていきます。わかりやすい怖さでは無いですが、じわじわと沁みてくる雰囲気は貴志作品の真骨頂でしょう。13番目の人格「ISOLA」は何故「ISORA」という表記でないのか、その謎が後半で読者にも分かってくるところがたまりません。

 


GOSICK(2)」/桜庭一樹 

 ヴィクトリカと久条一弥が活躍するシリーズ第2弾。朝刊の三行広告に載っていた言葉に引かれホロヴィッツという町に行くことになるのですが、そこで事件が起こります。ここではヴィクトリカのルーツや彼女の母について明らかにされます。このシリーズはまだ2作しか読んでませんが、そこまで食指が動かないんですよね。でも、また目にしたら買うんだろうな。

 


竜馬がゆく(7)」司馬遼太郎 

新装版 竜馬がゆく (7) (文春文庫)

新装版 竜馬がゆく (7) (文春文庫)

 

 

竜馬がゆく(8)」司馬遼太郎 

竜馬がゆく(八) (文春文庫)

竜馬がゆく(八) (文春文庫)

 

 約30年ぶりの再読。誰もが知ってるので今更ここで書くことも無いのですが、いつ読んでも司馬遼太郎氏の作品は面白い。司馬遼太郎氏は、作品を書き上げるにあたってかなり細かく取材やリサーチをしておられて、それが登場人物への愛となって読み手にも伝わるのが良いです。僕は竜馬が死んだ時の年齢を既に15年以上も過ぎてしまいましたが、未だに何も成しえておりません。

 


「多分そいつ、今ごろパフェとか食ってるよ。」/Jam/名越康文 

多分そいつ、今ごろパフェとか食ってるよ。

多分そいつ、今ごろパフェとか食ってるよ。

 

 タイトルに近い感覚を自分でも持っていて、それに惹かれて読んでしました。日常的にある人間関係のストレスと、そこから心を守る考え方を4コマ漫画にして、誰でも読めるようにしてあります。要は「他人は思ってるほど自分のことを気にしてないから放っておけ」ってこと。まあ、頭では理解できてもなかなかその境地に至らないから生きづらさを感じたりもするわけですが。。

 

 

「屋上のテロリスト」/知念実希人 

屋上のテロリスト (光文社文庫)

屋上のテロリスト (光文社文庫)

 

 第二次世界大戦後、ポツダム宣言を受け入れなかった日本が新潟にも原爆を落とされ、東西に分断されてしまった架空の世界のお話し。知念氏といえば医療ミステリーという印象だったので、こういうのはちょっと意外でした。とある女子高生が同級生男子を巻き込んで起こすテロという、ちょっと突拍子もない設定なんですが続きが気になって引き込まれてしまいました。ラストに向けての展開は何となく想像がついてしまったのが残念ですが、面白かったです。

 

 

「冷たい校舎の時は止まる(上)」/辻村深月 

冷たい校舎の時は止まる(上) (講談社文庫)

冷たい校舎の時は止まる(上) (講談社文庫)

  • 作者:辻村 深月
  • 発売日: 2007/08/11
  • メディア: 文庫
 

 冷たい雪が降る中、奇怪な現象によって学校に閉じ込められた8人の高校生。自分たちが何故閉じ込められているかを探る中で、数カ月前に起きた同級生の自殺事件に行き当たる。だが誰もその同級生の事を思い出せず、そして一人ずつ消されていく。学園ミステリーかと思って読み始めたけど、学園ホラーかも。でも登場人物それぞれの個性が丁寧に描かれ感情移入しやすいです。ただ、展開がゆっくりで且つボリュームがあるので、先を早く知りたいのに進まないというジレンマに陥ります。ちなみにまだ下巻を読んでません。

 


「Over The Edge」/堂場瞬一 

over the edge (ハヤカワ・ミステリワールド)

over the edge (ハヤカワ・ミステリワールド)

 

 堂場氏の作品はこれが初です。東野圭吾並みにけっこうな数の作品を送り出しているようで、しかも警察小説が多いみたいですね。日本で失踪した友人を探すために来日したニューヨーク市警ブラウンと、ひょんなことから彼に協力をすることになった日本人の元刑事である濱崎が活躍する物語。そこそこ厚みのある本ですが、内容的にはミステリーというほど驚きの展開もないです。敵からしょっちゅう不意打ちくらってやられるし、濱崎の警察に対する鬱憤みたいなものも描き方がちょっと浅くて今一つでした。

 

 

「悲しみのイレーヌ」/ピエール・ルメートル 

悲しみのイレーヌ (文春文庫)

悲しみのイレーヌ (文春文庫)

 

 タイトルで既に結末は想像できてしまうのですが、それでもグイグイと読ませる作品です。自分は先に「その女アレックス」を先に読んでいたので、カミーユ警部とその奥さんがどういう経緯でそこに至ったかを知ってしまい、読む順番を間違えたなぁと。伏線を上手に回収する上手い作りですが、メインの事件は本当に恐ろしく、そして辛い読後感が残ります。

 

 

「若い読者のための短編小説案内」/村上春樹 

若い読者のための短編小説案内 (文春文庫)

若い読者のための短編小説案内 (文春文庫)

 

 僕は短編小説はあまり読まないのですが、村上春樹氏の作品だけは読んでいます。その村上春樹氏がお気に入りの短編小説を紹介、解説してくれる案内本。ここで紹介されている短編小説はほとんど読んだことがなく、今回これを読んでもやっぱり読んでみようとまではなりませんでした(^^;)別にこの本がダメというわけではなく、単純に長編物語が好きな性分は変わらないってだけのことです。ただ、村上春樹氏が書く文章が好きなので、これも読んでみた次第。読み物としてはかなり面白いです。

 

 

「村上朝日堂」/村上春樹/安西水丸 

村上朝日堂 (新潮文庫)

村上朝日堂 (新潮文庫)

 

 村上春樹氏は数多くのエッセイを書いていますが、これが初のエッセイ集とのこと。先ほどでも書いたように、村上氏の文章を読むのが好きな僕にとっては、まさしく御馳走本。村上氏が普通の小説家と違うのは若いころは食べるために店を経営していたこと。そこで培われた経験が人間観察や物事の捉え方に深みを与えているように思います。実際のところ、村上氏には経営能力のスキルがけっこう高いんじゃないかと思っています。

 

 

「別人群ようこのできるまで」/群ようこ 

別人「群ようこ」のできるまで (文春文庫)
 

 多分、個人的には村上春樹氏に次いで好きな文体の作家です。群さんが作家になるまでの経験談が書かれており面白かったです。けっこう家族には苦労させらていたんだなということがわかりました。雑誌社の編集作業をきっかけに、思いがけず物書きへの道を進んでしまったという感じですが、なんだかんだで当時知り合った人たちとの縁も大きかったと思います。

 


追想五断章」/米澤穂信 

追想五断章 (集英社文庫)

追想五断章 (集英社文庫)

 

 金銭面の問題により大学を休学している菅生芳光は、叔父の経営する古書店でアルバイトして生計を立てている。その彼の元へある女性から5つの短編小説を探し出してほしいを依頼を受けます。その短編小説は結末のないリドルストーリーで、同人誌などに寄稿されおり非常に手掛かりが少ない中、主人公はなんとか見つけ出し、依頼者とその作者である亡き父の物語を突き止めるというお話し。非常に淡々としていて、例えば古書店を経営する叔父やそこでアルバイしている女子大生など、何か含みがあって重要なキャラっぽい印象を持つのですが、それ以上の展開もないし、主人公自身も最終的に救われるといった結末でもありません。でも人の「物語」はそこにある、という読後感の残る作品でした。

 

以上、2020年に読んだ本の備忘録と簡単な感想でした。

トータルで45冊、目標の50冊には届きませんでした。

まあ、今年はほとんど出張に出れなかったのがその原因でしょう(^^;)