Walking backstreet(裏道を歩いていこう)

Walking backstreet(裏道を歩いて行こう)

40代後半になっても自分の生き方、進む道が分からない男のブログです。「40にしても惑う」人間の悩みや日常の思考などを趣味も交えて書いています。

2019年に読んだ本(その3)

2019年に読んだ本の続きで、今回が最後となります。
 
以下からは紹介。
 
 
◆「サラバ!(上)」/西加奈子
サラバ! (上) (小学館文庫)

サラバ! (上) (小学館文庫)

 

 

◆「サラバ!(中)」/西加奈子
サラバ! (中) (小学館文庫)

サラバ! (中) (小学館文庫)

 

 

◆「サラバ!(下)」/西加奈子
サラバ! (下) (小学館文庫)

サラバ! (下) (小学館文庫)

 
ご存じ、直木賞受賞作品。主人公の圷歩(あくつあゆむ)の自伝的な話しという構成になっています。主人公は石油会社に勤める父親が赴任中のイランで生まれる。イラン革命のため帰国し大阪に移るが姉の貴子が通う小学校で問題児となり、いじめられるようになる。母親と娘は仲が悪く、逆に歩は自分を消して周りに溶け込む術を身に着ける。やがてまた父の転勤で今度はエジプトに移り住み、そこで現地の少年ヤコブと友達になるが、再び日本へ帰国することに、、、という感じで話しが進みます。大人になった歩が徐々に人生につまづき始め、やがては家から一歩も出られない状況に陥り、自分の人生をだめにしたのは離婚して出て行った父であり、自分のことしか考えない母であり、常に問題を起こしてきた姉のせいだと思い込むのですが、ある時に常に周りに合わせるだけの生き方をしてきた自分自身のせいだったと気付くのです。そのきっかけはずっと毛嫌いしていた姉が与えてくれるのですが、主人公の生き方がまるで自分自身のことに思えてなりませんでした。「あなたの信じるものを誰かに決めさせてはいけないわ。」というセリフも身にしみましたね。ただ、この小説って一時期、世間では物凄く持ち上げられ話題になりましたが、そういう作品ではないような気もします。やっぱり僕は50歳を過ぎても昔の圷歩のままであって、そいういった人たちはリアルの世界にはうじゃうじゃいて、そんな中でもまだなんとかあがいている一部の人たちの背中をそっと押すような小説なんですよね。だから決して万人受けはしない小説という意味で、あまりに持ち上げすぎかなという気がしないでもないです。きっと共感できない人もけっこういるだろうと思われます。
 
 
 
 
 
◆「論破力」/西村博之
論破力 (朝日新書)

論破力 (朝日新書)

 
個人的には、このブログでもたまにネタにしたりしてますが、西村博之氏はけっこう好きなんですよね。この人の記事がネットニュースで出てたりすると、どんなことに言及しているんだろうと気になってすぐに読みますし、言っている内容のほとんどに共感を覚えます。これはホリエモンに関しても一緒ですが。僕自身からすると、西村博之氏は圧倒的に頭が良いと思っています。シンプルに論理構成して物が言えるっていうのに憧れたりもします。この本は、そんな彼の一端を垣間見ることができますが、ただ学生時代のエピソードとか読むと、実際には友達になれないだろうなとか思ったりもしました。
 
 
 
 
 
持たない幸福論 働きたくない、家族を作らない、お金に縛られない

持たない幸福論 働きたくない、家族を作らない、お金に縛られない

  • 作者:pha
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2015/05/26
  • メディア: 単行本
 
pha氏の本はこれが初でしたが、ブログはよく読んでいました。と言っても最近はほとんど更新がないですが。先に紹介した「稼ぐまちが地方を変える」の木下斉氏とは真逆に位置していて矛盾するかもしれませんが、僕は両方に共感できます。ただ、両者とも似たようなことを言ってたりもします。pha氏が言う「自分で考えて行動して自分の周りの世界に対して変化や影響を与えていくとき、人は充実感を覚える」というのは、木下斉氏の言う行動する人間とは?にも繋がるものがあるのです。pha氏はゆるいながらも人との繋がりが大切と考え、でも、人はそれぞれ違うのが当たり前なので、無理に大勢へ合せる必要はないと言っていて、全くその通りだよなぁって。この本を読んでいて思うのは、pha氏はなんだかんだ言って、ちゃんと自分の頭で考え結論を導き出しているということです。逆に自分はここまで、自分が苦しい理由をちゃんと頭で考えたことがあっただろうかと、反省させられました。
 
 
 
 
◆「新女子高生株塾」/ホイチョイ・プロダクション
このブログでも少しだけ記事にしているように、自分自身が投資をしている関係で読んだ本。ちょっと絵が強烈というか、馴染むまで時間がかかりましたが、あんまりホイチョイっぽくない絵柄だなぁというのが最初の感想(^^;前作があり、登場人物はその前作からの続きという形で各キャラが設定されています。漫画部分と解説部分に分かれてますが、漫画部分もけっこう文字数が多いです。でも、FXや為替の仕組みについて非常にわかりやすく説明してくれたり、TOBをキャバクラで例えてくれたりとけっこう面白い。ただ、実際に女子高生がこれを読んでどこまで理解できるかは何とも言えないなぁって思ったりもしました。
 
 
 
 
 
◆「岩田さん、岩田聡はこんなことを話していた」/糸井重里
僕は任天堂ゲームにかなりお世話になっており、今でもswitchで遊んでいるので、その元社長の岩田さんについての本ということで非常に興味がありました。内容は、岩田氏が執筆したものではなく、岩田氏と付き合いの深かった糸井重里氏がほぼ日でインタビューした内容を編集しまとめた本になっています。なんというか、岩田氏の人柄が素晴らしくて、読んでいてほっこりしてしまいます。自分はこんな人に未だになれそうにないし、未だにこんな人と一緒に仕事をしたことがないなぁと。裏を返せば、自分がそういう人間であろうとしてないから縁が無いのであって、糸井さんや岩田氏は同じ土俵にいたんだろうなとうらやんでしまいました。一緒に働く人みんなにハッピーになって欲しい、そんな思いが溢れ出ている良本でした。
 
 
 
 
◆「主よ、永遠の休息を」/誉田哲也
主よ、永遠の休息を (中公文庫)

主よ、永遠の休息を (中公文庫)

 
この人の本は少ししか読んでないですが、猟奇的殺人を扱う作品が多いという印象で、この作品においても同様です。過去の幼女殺人事件を軸に物語は展開していきますが、ネット動画に犯行映像が配信されるといった話しは、実際の現実でも起こっていることで、そうした問題提起にもなっているのかもしれません。途中までは登場人物の動きなどで、こういう方向に話しが進むのだろうと推測でき、その通りに物語は進んでいくのですが、ラストがあまりに悲惨で、こんな残酷で悲しい結末であって良いのかという憤りさえ感じる作品です。
 
 
 
 
◆「メモの魔力」/前田裕二
メモの魔力 The Magic of Memos (NewsPicks Book)

メモの魔力 The Magic of Memos (NewsPicks Book)

 
いっとき、TVでも取り上げられ、著者自身もけっこうメディアに露出していた有名本。くろばこも久しぶりにこの手の本に手を出しました。それぐらい、何かしらの魅力を感じたということです。中でも「事実(ということがあった」「抽象化(ということは)」「転用(他の場面で活かすとすれば)」に分けてメモをしていくのは、持続すればかなり自分にとっても良い効果をもたらすんじゃなかろうかと思いました。ただ、案の定?途中で挫折してしまいましたが(^^;著者の前田氏は小さい頃からかなり苦労して、自分なりに幸せになるための方法を追求して、そうしたスキルを身に着けたのだと思います。そのうわべだけを真似事してもダメってことでしょうね。
 
 
 
 
◆「雨天炎天」/村上春樹
雨天炎天―ギリシャ・トルコ辺境紀行―(新潮文庫)

雨天炎天―ギリシャ・トルコ辺境紀行―(新潮文庫)

  • 作者:村上 春樹
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2016/12/23
  • メディア: Kindle
 
村上春樹氏の作品は小説も面白いですが、実はこうした旅行記もけっけう面白く、読みだすと止まらなくなります。この本はギリシャとトルコの旅行記です。ギリシャギリシャ正教会修道院を訪ね歩く旅ですが、ギリシャ人自身もなかなか足を踏み入れない地を旅してます。修道院で出される貧相な食事描写が面白く、自分だったら無理かもって思ってしまいました。また、トルコでは、その喧噪と地元の人々との交流が面白おかしく描いてあり、村上春樹氏はやっぱり文章が上手いなぁと改めて感心した次第であります。
 
 
 
 
◆「女のいない男たち」/村上春樹
女のいない男たち (文春文庫)

女のいない男たち (文春文庫)

 
久しぶりの村上春樹短編小説でした。一応、自分の中では最近の作品という感じだったのですが、2014年発売ですのでけっこう以前の本ということですね。「独立器官」のようなニヒルな感じのものから、なんとなくせつなくなる「イエスタデイ」、村上春樹の本領ともいえる「木野」など、非常に面白い短編集となっております。前に短編小説より長編小説の方が好きだと書いた覚えがありますが、村上春樹作品に関しては、短編もかなり好きなのであります。久しぶりに村上作品を読みましたが、やっぱり自分に一番合ってる作風、文章だと再度実感した次第です。
 
 
 
 
村上さんのところ (新潮文庫)

村上さんのところ (新潮文庫)

  • 作者:村上 春樹
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2018/04/27
  • メディア: 文庫
 
いっとき、ネット界をざわつかせた村上春樹氏の期間限定ウエブでのやり取りを一冊の本にしたもの。これに限らず、「そうだ、村上さんに聞いてみよう」など読者とのやり取りを掲載した本は複数出版されており、どれも非常に面白いです。特に村上氏の時にタメになり、時にふふっと笑ってしまいそうな回答が読んでいて癖になります。エッセイもそうですが、村上氏の素の思考回路みたいなものが垣間見えて、ファンでなくても楽しめる読み物じゃないでしょうか。ちなみに僕は言うまでもなく、村上主義者です(^^;
 
 
 
 
◆「もし僕らのことばがウィスキーであったなら」/村上春樹
もし僕らのことばがウィスキーであったなら (新潮文庫)

もし僕らのことばがウィスキーであったなら (新潮文庫)

  • 作者:村上 春樹
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2002/10/30
  • メディア: 文庫
 
村上春樹氏お得意の旅行記で、スコットランドアイラ島アイルランドを訪れた時のエッセイ本。とは言っても、文章は短めで写真が半分以上を占めます。僕自身もシングルモルトウィスキーが好きなので、もっと早くこの本を読んでいれば、よりスコッチに思いを馳せて飲むことができたろうにと思いました。ちなみにこの本、初版は1999年なんですが、読もうと思っていて読むのを忘れていた本です。ハルキストからすれば、発売されてすぐ読まないなんて考えられないでしょうが、僕は先ほども書いたようように村上主義者なのでこんなものなのです。しかし、この本のことを思い出しただけで、ウィスキーが飲みたくなりました。それぐらい良本です。
 
 
 
 
◆「パンとスープとネコ日和」/群ようこ
パンとスープとネコ日和

パンとスープとネコ日和

 
群ようこ氏の作品、それほど多くは読んでいませんが確実に好きだといえます。ありふれた日常を上手に切り取って描写する力と言いましょうか、毎日を生きていくことって、俯瞰するとこういうことだよなぁってしみじみ思えるのです。
以下、ネタばれになりますが、飼い猫のたろちゃんが物語中盤あたりで亡くなり、その後は主人公アキコが喪失感を日常の中で埋めていく様が描かれ、胸に込み上げるものを抱えながら読み進めました。人生は決してドラマチックではないけど、ゆっくりと呼吸するように生きていくことが大事なんだろうなと感じました。映画化されているようですが、そちらは未視聴。逆に「かもめ食堂」は映画は見たけど、小説は読んでいません。
 
 
 
 
星界の紋章 1―帝国の王女―

星界の紋章 1―帝国の王女―

 

 

星界の紋章〈2〉ささやかな戦い (ハヤカワ文庫JA)

星界の紋章〈2〉ささやかな戦い (ハヤカワ文庫JA)

 

 

星界の紋章〈3〉異郷への帰還 (ハヤカワ文庫JA)

星界の紋章〈3〉異郷への帰還 (ハヤカワ文庫JA)

 
出版されてからけっこう時間が経っている作品ですが、初めて読んですぐにハマってしまいました。宇宙を舞台にしたスペースファンタジーで、強大な星間国家アーヴ帝国の王女ラフィールと、侵略された側の主人公ジントが出会い行動を共にすることで…という、いわばベタ展開ではあるものの、グイグイと物語に引き込まれます。物語の世界観がしっかりしていること、独自の定義や造語により細かい作りこみがしてあることなどが、話しの面白さを倍増しているのではと思っています。特に「平行宇宙」というのが、頭でイメージできないまま読み進めてしまったのですが、それでも十分に面白かったですね。
 
 
 
 
星界の戦旗Ⅰ ―絆のかたち―

星界の戦旗Ⅰ ―絆のかたち―

 

 

星界の戦旗〈2〉守るべきもの (ハヤカワ文庫)

星界の戦旗〈2〉守るべきもの (ハヤカワ文庫)

 

 

星界の戦旗〈3〉家族の食卓 (ハヤカワ文庫JA)

星界の戦旗〈3〉家族の食卓 (ハヤカワ文庫JA)

 

 

 
星界の戦旗Ⅳ ―軋む時空―

星界の戦旗Ⅳ ―軋む時空―

 

 

 
 
星界の戦旗Ⅴ ―宿命の調べ―

星界の戦旗Ⅴ ―宿命の調べ―

 
上記「星界の紋章」の続編。宇宙では常勝であったアーヴ帝国ですが、遂に苦境が訪れます。正直、アーヴ帝国がここまで追い込まれるとは思ってもいませんでした。それぐらい強いというイメージがいつの間にか植え付けられていたわけですが、それをこの戦旗編ではあっさりと裏切ってくれます。そもそもアーヴ帝国は支配者側であって、ふつう、物語の設定では主人公と敵対する側になるのが一般的だと思うのですが、「星界の~」シリーズは違います。主人公も最初は支配されていた側でしたが、ラフィールと共に支配する側としてジントは戦地に赴くのです。これも、アーブの独特な支配方法などを細かく設定し描くことで、いつの間にか支配側のアーヴに感情移入して読み進めてしまうのでしょう。
 
 
 
 
四畳半神話大系 (角川文庫)

四畳半神話大系 (角川文庫)

 
森見登美彦作品はこれが初でした。アニメ「有頂天家族」にハマったことから、原作を書いている人のことが気になり、それでいつか読んでみたいと思っていたのですが、読後の感想としては、文章はちょっと苦手かもという感じでした。いわゆるパラレルワールドもので、最後の四畳半がひたすら続く世界は圧巻でしたが、読み終えた後の疲労感もなかなかでした。ただ、文体から感じる空気感とか雰囲気は確かに「有頂天家族」に通ずるものがあるなぁと感じることもできました。
 
 
 
 
◆「そろそろ会社辞めようかなと思っている人に、一人でも食べていける知識をシェアしようじゃないか」/山口揚平
タイトルに惹かれて購入しましたが、内容的にはほとんどがネットで拾えるもので、わざわざ買ってまで読まなくてもよかったなという感想。こういうのを読むと、「会社辞めたい人向けビジネス」っていう一つのカテゴリーがあって、そこで情弱な人たちが実は食い物にされてたりするのかなぁって想像してしまいました。
 
以上、2019年に読んだ本の紹介でした。