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40代後半になっても自分の生き方、進む道が分からない男のブログです。「40にしても惑う」人間の悩みや日常の思考などを趣味も交えて書いています。

農協改革における全農へのツッコミどころ

規制改革での農協問題が取りざたされ、全中が3~5年以内に一般社団法人へ変わることが決まり、次はいよいよ全農の順番となったようです。
 
全農については、成果物の買い取り販売や、肥料農薬の価格低減、株式会社化への移行などが言われているようです。
 
以前に書いた記事
以前、全農の規制改革に関し、僕は以下のような記事を書いています。
要は、モノが流通するのに無料はないだろってことで、これでは農協に限らず一般の物流企業だって御免被りたい要求だということです。
 
ただ、農産物全量買い取りという話しになれば、手数料うんぬんの話しではなく、市場動向を見て安く買って高く売るという流れになります。
 
これが、仮に全農や農協は農家から高く買って、より高く売れとなると、最終的に煽りを食らうのは消費者となり、それはそれで本末転倒のような気がいたします。
 
片方で、肥料農薬などの資材はもっと安く農家へ提供しろと迫られているわけですから、JAグループとしてはそうなれば、どちらにしろより厳しい状況になるでしょう。
 
一応、上の記事ではJAを擁護する内容で書いてますが、それは経済活動において国が無茶苦茶言ってるよなとという点でそうなりました。
 
JAの信用事業と営農経済事業の切り離し
 
WG(ワーキンググループ)は、各都道府県にある単協(JAグループの中で一番下部に位置する組織)について、信用、共済事業(金融・保険)と営農経済事業を切り離せと言っています。
 
これは何かと言うと、知ってる人も多いと思いますが、全国ほとんどのJAでは営農経済事業部門は常に赤字であり、その補填を金融や保険でまかない最終的に黒字計上しているのが実態です。
 
別にこれが普通の商社であれば問題なのでしょうが、農協は農家のための組織でありメインの農業部門とは違うところで儲けを出しているのはけしからん、というわけです。
 
東京近郊などの都市型JAでは、既に営農部門がわずかしか存在せず、銀行と同じレベルで業務をしているところもあります。
 
仕方無いですよね、都市部では農家は農地売ってビルやマンション建てた方が儲かりますから。
 
ただ、これも突き詰めて言うと、農協は年一回の通常総会などで毎年承認を得てきているわけですから、組合員もそれでOKって言ってるということで、何が問題なのかって話しではあります。
 
前も書いたように、組合員には脱退の自由もありますから、納得できないなら抜ければいいのです。
 
全農に関する疑問
このように地方JAは、営農の赤字部分を金融や保険部門の収益で埋めることで経営を維持してきました。
 
その賛否については、とりあえず置いておきます。
 
しかしながら全農に関しては、正直、疑問に思うことがあるのです。
 
全農は純粋に営農経済事業のみで運営されています。
 
各地方のJAが営農経済事業でずっと赤字を出してきているのに、なぜ、その親にあたる全農は儲かっているのでしょうか?
 
金融部門の補填もあるわけではありません。
 
ということは、営農経済事業でしっかり儲けていることになります。
 
この違いってなんなのでしょうね。
 
全農ができて事が、地方JAではできてないってことでしょうか?
 
恐らくはそんな単純な事じゃありません。
 
JAグループは下部団体からの吸い上げ方式
全農に限らず、JAは上部と下部が密接に繋がっている関係にあります。
 
全農→各都道府県全農(経済連)→地方JA営農経済部門
農林中金→信連→地方JA金融部門
共済連→各都道府県共済連→地方JA共済部門
全中→各都道府県中央会→地方JA総務管理部門
 
ってな感じですね。
 
それぞれの事業毎に親玉がいて、それぞれが色々な取り組みや通達を地方JAに出し、地方のJAはそれを実行するという流れ。
 
親玉の上部団体は、下部の地方JAからそれぞれ手数料のようなものを徴収して経営を維持しているわけで、言い方は悪いですが上納金を吸い上げている形になります。
 
全中にいたっては総務管理部門を統括する組織ですから、本来なら費用しか発生しないはずなのに、東京の霞ヶ関経団連と並んでビルを構えるほどの組織になっているのです。
 
すごいですよね、上納金の集金力。
 

まとめ

つまり、全農に関しては、各地方JAが営農経済部門が揃って赤字なのに、なぜ親玉は儲かるのかって話しです。
 
それは普通に考えればおかしな矛盾であり、規制改革委員会もそこはツッコミ入れてあげた方が良いのかではと思います。
 
JAグループの手数料を上納する仕組みも、あわせて議題にあげた方が最終的には農家のためになるとは思うのですが。
 
ただ、最終的に思うのは、農家が自立してないからこういう問題が発生するとも言えます。
 
農家は自ら取捨選択する自由があるのですから、農協を使うも使わないも自分で判断すれば良いだけです。