櫻子さんの足下には死体が埋まっている
一見、新しそうに思えるのですが、物語の核をなす設定や手法そのものは、割と使い古されたものでした。
ただ、原作も含め制作側は自分達はこれまでにない新しいものを作っているという気負いのようなものが垣間見えるのに対し、観てる側はそれほど驚嘆することもないというギャップがあったような気がします。
あらすじ
北海道旭川市に住む高校生の館脇正太郎は、良家お嬢様で且つ標本士である九条櫻子と、あることがきっかけで交流を持つようになりました。
九条櫻子はお嬢様にも関わらず、あらゆる生物の骨に愛着を持つ変わった性格の持ち主。
櫻子と正太郎の二人は、何故か死体が絡む事件に次々と遭遇するのですが、検死官としてのスキルも抜群の能力を持つ櫻子の推理により、どんどん事件を解決していくのであります。
櫻子のひとり勝ち
主人公である櫻子のキャラの立ち方は成功しているのですが、それ以外のキャラについては今ひとつでしたね。
準主役であり、ストーリーテーラーでもある正太郎ですら、その扱いに困ったというわけではないでしょうが、あまりに貧弱過ぎでした。
櫻子さんから少年でなく名前で呼んでもらいたいとか、正直ちょっとうざいというか、子供っぽすぎてこちらとしてもついていけません。
それ以外にも正太郎の同級生の女の子とか、事件で知り合いになった警察官とか、担任の先生とか、一瞬その深味を見せようとするのですが、結果的には今ひとつの味付けで終わっており、櫻子だけがキャラ立ちしてたという結果に。
ミステリーもの?
話しは2~3話ごとの完結する形でまとめられています。
櫻子の推理も、かなり強引な気がしないでもないですが、それなりによく練られている感はあります。
例えば、一般人である櫻子や正太郎が警察がいるにも関わらず、死体現場の近くに居てOKなところとか、警察呼んでも1人しか現場に駆けつけなかったり、遺体発見者であるにも関わらずすぐ家に帰れたりとか、細かいんだけど、そういう部分が荒すぎるのです。
演出はやや過剰
画は綺麗です。
背景もしっかり書き込まれている感じがしますし、丁寧だなと思います。
ただ、櫻子が「さあ、謎を解こうじゃないか!」と言って、手袋をはめるところのバックの演出がやや恥ずかしいです。
美しい演出だとは思うのですが、それが終わった後、普通に死体をまさぐって調べるだけなんで、そのギャップがいかんともしがたいのであります。
また、そんなセリフを言わせるキャラ設定じゃないと思うのですが?
それ以外でも、キャラの心情や行動を丁寧に描いてはいるのですが、若干やりすぎで過剰かなと。
まとめ
良い作品だと思いますし、丁寧な仕事ぶりも伝わってきますが、すごく面白いというレベルではない。
何かが足りないんですよね。
雰囲気的にはサイコパスっぽいものを醸し出していたので、勝手に僕もそっち系を期待しちゃったというのもあるんですが。。
そういった点で、非常に惜しいアニメでありました。