沢木耕太郎という書き手を知ったのもその本だった。
ノンフィクション系のルポで有名というのは後で知ったのだが、沢木氏の作品で僕がきちんと読破できるものは意外に少ない。
「深夜特急」は楽しく読めたけど、それ以外の作品を夢中で読んだという記憶が実はほとんどない。
スポーツ系の本があまり好きじゃないというもあるかもしれない。
それに加えて、沢木氏の作品は割とお堅い感じでどうしても途中で退屈してしまい、作品にのめり込めないのだ。
そんな中で、この「旅する力」は深夜特急の後付け的な本という事で楽しく読めた。
僕もそんなに旅を頻繁にしてきたわけじゃないけど、この本で言わんとすることは感覚的に理解できるし、同感もできる。
旅をする年齢は年齢を重ねすぎているとその経験が邪魔になるし、かといって若すぎると今度はその経験の少なさが旅を希薄なものにしてしまう。
だから26歳という年齢が日本の外へ向かうのに一番適している、というのもなるほどと思ってしまった。
既に40代半ばを過ぎた自分にとっては悲しい現実でもあるが。
その後書き的なこの本は、深夜特急を読んだ読者にとって充分楽しめる作品だと思う。