モヤさまの書籍版みたいな感じで、村上春樹氏を含めた隊員達がモヤッと感じる場所に実際に行ってみたという内容です。
タイトルからしてわかるように、非常にゆるい企画と内容になっており、分厚い本の割りにさくさくと読めます。
TVより先駆け?
少なくとも村上春樹氏が、TV見て行きたくなったとも思えませんから、ネタ的にはこの本が実は元祖的な存在で、TV関係者がこれ読んで面白そうだから放送で使っちゃおうみたいなノリを想像します。
あくまで僕自身の勝手な憶測ですが(^^ゞ
特に名古屋のグルメ関係、あんかけスパ等は最近こそ全国区の知名度ですが、以前は本当に地元民しか知らない食べ物でしたよね。
メジャーどころじゃなく、モヤモヤっとしたところを旅して楽しむというのは、この本かモヤさまが代表格でしょう。
名古屋の扱われ方
中でも名古屋に関しては、どちらかというと、ややディスり気味な感じがいたしまいた。
名古屋嫌いなんだろうなぁ、村上さんって感じ?
本作では、村上春樹氏を含めた3名の旅行記となっており、最後に座談会の様子が登場するのですが、他の2人から「村上さんが(名古屋に対して)いちばんひどいこと言ってるんだよ」って突っ込まれておりました。
サハリンの扱われ方
名古屋とは逆に、サハリンについてはほのぼのとしていて、サハリンという土地に対し愛着を持っているのが感じられます。
名古屋と違ってサハリンはお気に入りなんだなと感じますし、村上氏の書く他の文章の中にもサハリンやそれに関連する内容が登場しますよね。
廃墟としての熱海
ここ最近の熱海は、若者も観光で多く訪れるようになり人気が復活しているようですが、この本が書かれた頃は、団体旅行ブームが過ぎ去り、過去の栄華が嘘のような熱海として取り上げられています。
著者達は、この時の熱海に対し具体的に問題点を挙げ、どうすれば熱海が復活できるかについて提言しています。
時代がまた変わってきたというのもあるんですが、熱海が復活したのはこの本のおかげ?とも思ったりしちゃいました。
なぜハワイ?
ハワイは観光地として王道すぎて、なぜこの本で取り上げる必要があるのだろうとは思いましたが、そこはやっぱり東京するめクラブ、華やかな観光部分には全く触れてませんでしたね。
ハワイと日本人の関係が、実はかなり奥深いものであるのが、これを読むとよく分かります。
戦前のハワイに入植した日本人達によって、日系文化が築き上げられました。
それは人口楽園ハワイとは対極に位置するような歴史でもあり、ハワイの裏側を理解することができます。
アロハシャツの起源も、日本人入植者の着物を半袖に仕立てたのがルーツらしく、なるほどなぁって思いました。
まとめ
村上春樹氏の旅行エッセイは大好きでよく読むのですが、この本は、そのテイストも残しながら全く違う面白味を感じさせてくれます。
僕も旅行するなら、王道路線ばかりじゃなく、こんな旅の仕方をできる大人(もう年齢はじゅうぶん大人だけど)になりたいなぁと思いましたね。