Walking backstreet(裏道を歩いていこう)

Walking backstreet(裏道を歩いて行こう)

40代後半になっても自分の生き方、進む道が分からない男のブログです。「40にしても惑う」人間の悩みや日常の思考などを趣味も交えて書いています。

スケアクロウ

 

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いっときブームというほどでもないでしょうが、よく耳にしたニューシネマというジャンル。
 
この映画もそれに分類されるのかもしれませんが、個人的に映画の世界には疎いのでよくわかりません。
 
ただ、明確な起承転結もなく、ドラマチックなストーリー展開でもなく、淡々と画が流れていく様は確かに通常の映画とは違います。
 
スタンド・バイ・ミー」に近いものがあります。
 
そういえばあちらも「旅」が描かれていましたっけ。
 
この作品も、旅が主軸となっていて、冒頭のヒッチハイクシーンから始まり、マックス(ジーン・ハックマン)とライオネル(アル・パチーノ)が田舎の道端で偶然出会うシーンが印象的です。
 
風景がアメリカならではの田舎景色で、丸い草が風で転がってるところなんか、うわぁーって感じ。
 
ホントにこんな風景があるんだって。
 
ゲームやアニメの世界だけかと思ってたんですけどね(^^ゞ
 
しかし、アル・パチーノが若い。
 
刑務所を出所した短気でケンカ早いマックスと、妻を捨て5年間船員で働いていたライオネルが出会うところから物語は始まり、ムショで貯めたお金を元手に洗車屋をやる話しをマックスがライオネルに持ちかけます。
 
短気で何事にも粗暴なマックスと、おどけた感じのライオネルは全く正反対な性格にも関わらず、一緒に旅を続け事業もやろうという話しに。
 
ストーリーとしては、この2人がデトロイト経由でピッツバーグまで行くまでの旅の話しで、デトロイトに寄るのはライオネルが自分がいない間に生まれたであろう子供へプレゼントを届けるため。
 
前半はマックスの荒っぽい部分に焦点を当て、それをおどけ調子で諫めるライオネルの構図が描かれています。
 
ライオネルはすぐに腹を立てるマックスに対し「かかし(スケアクロウ)はカラスを脅したり戦ったりするんじゃなく、カラスを笑わせているんだ。そのお返しとして作物を荒らさないでいてくれるんだ。」というような事を言い、マックスを諭すシーンがあります。
 
相手と争うより相手を笑わせろと言ったライオネルですが、デトロイトに近づくに連れ気持ちがふさぎ込んでいき、自分の家の近くまで辿り着くもなかなか電話することすらできません。
 
やっとの思い出公衆電話から妻に電話するのですが、妻は子供が生まれているにも変わらず「流産した、父もいない状況で死んでいった子供の魂は誰も救ってくれない」とライオネルを責めます。
 
そこでライオネルは電話を切るのですが、その後公園で遊ぶ子供達をあやしながら精神が崩壊してしまいます。
 
マックスはそんなライオネルを何とか助けようとするのですが、物語はそこでエンディングを迎えるのです。
 
スケアクロウ(かかし)になれとマックスに言ったライオネルですが、ラストではライオネル自身がスケアクロウになりきることができませんでした。
 
アメリカという国の影の部分、と言うと大げかもしれませんが、そんなメタファーを含んだ印象の作品で、不思議と心の奥底に残る映画でしたね。
 
なんだろ?とても心に残る作りで、時間が経っても色んなシーンがはっきりと思い出せるんですよ。
 
見終わってから、決してスッキリとするような映画とは正反対のものなんですが、また見たいと思ってしまうんですよね。
 
これは良作です。