英雄の書/宮部みゆき
ここ最近は、宮部みゆきモノが読み物のメインとなっている。
ミステリーやサスペンスものだけでなく、ファンタジー系もけっこうあるのだが、実はファンタジー系の小説って読んだ記憶がほとんどない。
理由はたぶん、ファンタジーものは活字を追いかけるより、映像観た方が楽しめるだろという固定観念だと思われる。
その方が楽だしね。
ちなみに「ミステリー」と「サスペンス」の違いは、、、
「ミステリー」は犯人が誰なのかを明かさずにラストまでストーリーを追っていく形の小説、「サスペンス」は犯人が最初に明かされていて捕まるまでの過程を追っていく小説、とのこと。
この世にある推理系小説が全部これにきちんと分類されるわけじゃないけど、意外と知らずに読んでる人は多いんじゃなかろうか。
僕もその一人だけど。
前置きが長くなってしまった。
「英雄の書」は完全にファンタジーもの、とは言いつつも小学生の子供が読んで理解できるかとなると、そうはいかないような作品。
わざとだろうか、ともかく登場する異世界がイメージしにくい。
そして主人公の女の子の思考が大人すぎる。
読みつつ何度も、「この娘ってまだ小学生だよな?」と確認したぐらい。
でも、この世の「物語」の理、物語を紡ぐ物、その中に生きるということ、不幸や悲しみ、争いが起きる道理を「ことば」とともに存在する人間の業であるという掘り下げは非常に面白く、共感する部分でもあった。
物事には表と裏があり、例え「英雄」と呼ばれしものであってもそれは同じ。
絶対の正義は無い、でも、傷つけられた人はどうやってそれを乗り越えればいいのか?どうやって救われるべきなのか?
それもまた物語の一部であり、我々が存在する領域では法で解決するしか術はない。
それが正しいとか間違っているとかではなく。
そうした思いを「英雄の書」というファンタジーもので描いたという作者は、やっぱりすごい人なんだろうなと感じずにいられない。
単純にファンタジーものとした場合、この作品はけっこう評価別れるんだろうね。